大きな拳だ。
それがこつんと僕のおでこをつついた。
手を抜いているつもりなのだろうが、それがなかなか重いパンチだった。
その一撃にくらくらしている時に、おじさんはというと、髭を蓄えた顔でにやにや笑っていた。
「いいかボウズ。
ちいせえちいせえとしょぼくれてる暇あったら牛乳飲みな。腰当ててな。
そしたら背なんか10センチ伸びてるってもんだぜ」
そんな言葉を胸に僕は今も牛乳を飲み続けているが、クラスの平均より上にいったことはない。
ただ幸い、生まれてこの方骨折をしたことがない。
そのことについてだけは、あのおじさんに感謝したいと言うものだ。