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こぼれた言葉にあげる、せめてもの置き場所。
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■ (no subject)

「あなたは優しいからね

きっと私が知らない間に
全部さらってしまう

私が知るはずだった悲しみ、
あなたの痛み」


裸足が水面を軽く叩いて、
飛沫をぱっぱとそこらじゅうに四散させた。

「だからあなたは知らない
私がそれを学びたかったこと、
感じたかったこと」

「知っていたからこそ取り上げたんだ」

傍らの低い声は水面を震わせた。
冬の北風みたいに静かに厳かに波をつくって。

「学べば、学ぶほど
感じれば、感じるほど

君は知識という感覚に飲み込まれていく」

そっと大きな左手が胸を押す。

静かに、ゆっくり。

「それが知ったかぶりだ」

押された体はそれに応えてゆっくり、水の中へと落ちていく。

静かな笑い声が耳の中で響いた。

「君が俺の痛みを知ることはない」
「あなたが私の痛みを知らないように」

答えた時に、さっきまでいた姿はすでにぼやけた影でしかなかった。



泡が視界を埋めつくす。
肺は息苦しさで満たされる。
影も闇に紛れた。

胸を押した強い感触は消えない。
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■ 幻燈会

死んだ者たちの幻を
今を生きる者たちがこぞって集まり
映写機越しに見て踊る

これら過去を見てどう思うか?
かつての敵と仲良く集まって見ることは
不可能か?

人間の子供たちに歓迎のためのお団子を
あげたら戸惑いつつ喜んで
美味しそうに頬張ってくれた

過去から学び
今起こす行動で
未来の可能性を知る

自分たちの思い出を持ち帰り、
子供たちも未来の希望を胸に帰る

ああ僕たちは過去のまぼろしから
帰ってきたのだと

現実を表す三つの影を見つけて気づく

自宅に帰る

懐で輝く石は温かろう
■ (no subject)

埋めようとしても空く、それはずっと存在する

ドーナッツの穴みたいに

いくらいろんなものでかき集めたところでうまくはいかない

うまく付き合っていけと言う

それが、その穴そのものが存在というものだから

いくらかでも府に落ちれたらいい

そういう話
■ (no subject)

いくら寄り添っても結局ひとりになる

拭いようがない寂しさ

見知っているはずのものを知らなかったことに気づいた悲しさ

それは穴

埋められなくなった穴

知らない間に出来て、
そして初めからいましたって顔をしている
■ (no subject)

胸の痛みがようやく何なのかわかった

私がしたかったことを思い出してる痛みだ

してあげたかったこと、
やらなかったこと、
うまく逃げたこと

なくしたもののこと

痛むのが好きというより、
そこに混じるありし日の思い出を噛み締めたかったんだろう

それで何度も昔の夢を見た

嫌だった思い出もどこかで解決策を探していた

でももう、戻ってこない

どんなにかき集めたって戻ってこないものはあるんだ

一方的に追えば逃げる猫みたいに

だから新しいものを探し続けた

後悔から逃げるために

新しい対象もないかと探した

執着する自分と見切りをつけたくて

だけど散らばって中途半端
だから一つを塞ぐ必要があったんだ
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